本,地下室の手記

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本 7冊目 「地下室の手記」

 ぼくに必要なのは安らかな境地なんだ。そうとも、人から邪魔されずにいられるためなら、ぼくはいますぐ全世界を一カペーカで売りとばしたっていいと思っている。世界が破滅するのと、このぼくが茶を飲めなくなるのと、どっちを取るかって?聞かしてやろうか、世界なんか破滅したって、ぼくがいつも茶を飲めれば、それでいいのさ。

フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー (江川卓訳) 『地下室の手記』, (新潮社, 2013), pp.230.

読んだ感想

ドストエフスキーの「地下室の手記」を読みました。

主人公は妄想に妄想を重ね、感情を起伏させ続けます。

他人の一挙手一投足について妄想し、他人をこき下ろし続けます。

怒りを、憎悪を、ひたすら自分の内面で増幅させ続けます。

そして突如行動に移します。

「あの野郎!絶対許さねぇ!ぶん殴ってやる!」

この主人公には地下室が必要です。

誰も干渉してこない、自分だけの世界。

自分の思い通りになる世界。

その地下室で、今日も主人公は過去の出来事を鮮明に思い出し、より自分勝手なディテールを加えます。

日々増していく、嫉妬、後悔、怒り。

責任の所在を自分以外の存在になすりつけ、復讐心を内面で募らせ、妄想上で相手に復讐します。

「だってあいつが」「あいつのせいで」等、様々な言い訳ばかりして自分を慰めながら、今日も地下室にこもり、時折外に出ては傍若無人にふるまい、周りの人々を不快な思いにさせ続けます。

妄想。言い訳。他人へのたゆまぬ否定・批判。

地下室にて、主人公は自在に現実を歪め続けます。

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今回読んだ本について

タイトル:地下室の手記
出版社 :新潮社, (2013)
著者  :フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー (江川卓訳)

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